2月28日。
コピくんの家で目を冷ます。コーヒーを飲みながらまったりといろんな話をした。ツアー中、人の家に泊まるのが好きだ。いろんな話ができるしね。結婚、子育て、仕事と忙しくてしばらくイベントから遠ざかっていたけど、これからはマイペースでも続けたいとコピくん。がんばってね!
ゴトウイズミちゃんと合流し、今日は伊勢まで電車移動。まずは乗り換えで降りることになる鶴橋で焼肉ランチ!精力つけて伊勢に向かうぜ!
鶴橋の街はプチ韓国だ、ソウルというより釜山の感じ。蟻の巣のように狭い路地と路地が交差し合い、びっしりと韓国の食品店や洋品店が並ぶ、活気がすごい溢れてる。
今日世話になる伊勢のトーマスにお土産を物色中、一際元気で勢いあるキムチ屋のおやじにつかまった(笑)。次々と試食させられるがどれもこれもめちゃくちゃ美味い!!そしておやじの接客パワーがハンパない!「この接客パワーはボギーくんのライブにも通じるよね」とイズミちゃんに言われた(笑)。
結局、長芋のキムチをお土産に買ったんだけど、ツアー最終日なら我が家用にも買いたい所だ。
もりもり元気になって、いざ伊勢へ!
イズミちゃんとのんびり電車の旅。お互い昼寝したり携帯みたり、自由時間(笑)。こういうな〜んでもない時間があんがい貴重なふたり。
イズミちゃんはノートパソコンを広げて昨夜のレポをブログに打ちはじめたけど、急にピタッと動きが止まって、そのまま眠ってた。
伊勢に到着!!!
駅前にトーマスが車で迎えに来てくれた、約1年ぶりの再会!イエー!
トーマスはハーフで、見た目は完全に外人だけど、日本語しかしゃべれない。
ヨコチンレーベルの熱心なファンで、過去の作品も通販でほぼアーカイブしているというかなりの変わり者なのだ(笑)。
唯一持っていないと言う初期ボギーのカセット作品「ロックミーベイベー」(廃盤)がどうしても欲しいと言うので、特別にダビングして持っていったら、すっげー喜んでた(笑)。
この作品はいろんな洋楽のカバーを歌詞もメロもうろおぼえで適当にやってて...ほんとヒドイんだけど、サイモン&ガーファンクルの「サウンドオブサイレンス」をデス声でやってたり、今聴くとなかなか面白いかも。
さて、トーマスの車で20分ほど走る、どんどん人里離れて行く。「着きましたー!」と降ろされたのは、こんな場所....。
見事に何もねぇ!!!!!
ライブ会場はここ、はいそーです、古民家です(笑)。
今夜は、会場が“トーマスの家”というボギーの音楽活動史上もっともアットホームな会場なのだ!家やし、アットホームなのあたり前やけど。
座布団が敷き詰められた居間に、スピーカーとPAシステムが持ち込まれてた。大胆にも開けっぴろげに解放された居間から、サウンドチェックの音がのどかな野外に放たれまくってた。すげえな、苦情とか無いんだろうなあ〜、まわりに家が無いから(笑)。
お庭でイズミちゃんがのんびりアコーディオン弾いてる。それだけで絵になる風景。
トーマスは準備でいろいろ動き回ってた。飲食メニューもすべて手作り。まじでホームパーティー感がハンパない。ていうか、ホームパーティー!!!
車ないとぜったい来れないへんぴな場所だし、お客さん集まるんかなあと心配したけど、日が暮れだして、人がぞろぞろ集まって来た。パッと一目見ただけで“くせ者”ぞろいな匂いがする(笑)。もうすぐはじまるよ!わくわく。会場内はずっと「たま」が流れてる。いや、来たときからずっと「たま」しか流れてない。ひたすら落ち着くな〜。
トーマスのライブからイベントはスタート!仮面をかぶったトーマスがみんなにも仮面を配る。手作りの絶妙なセンスの仮面をみんながかぶってる光景は、ホームパーティーというか.....密教???
この始まり方は超絶に面白かった!家ライブの演出としては最高のアイデア!!こーいうの大好きな俺もイズミちゃんもいっきにテンションあがるー。
さらにフードメニューとして出された三種のカレーセットが感動的な美味さ!特にきよみさんのチキンカレーは激ウマ!これで700円(出演者は600円)。もしも福岡に店があったら通いたいレベル!!
地元の対バンの方々も実に味わい深かった。
アンビエント+ノイズの陰にダブ〜ニューウェイブがギラリと潜むカワノモトムさんのエレキギターソロ。外村伸二さんは伊勢の重鎮らしく、「恋・コーヒー」という歌はカラオケにも入っているらしい、すげえ。フォーキーな歌と人柄でついウトウトと気持ち良くなってしまった。退屈だからウトウトしたんじゃなくて、本当に気持ち良いからウトウトしちゃうんだ。
このあと映画「地下音楽現場物語」上映。みんなでお茶の間で観てる感じが面白い。真剣に観てくれてた。特に忍者みたいな格好した伊賀からやってきたオニーサンに「めちゃくちゃ感動した」って言ってもらえたのは嬉しかったが可笑しくもあった。
トーマス家の雰囲気にすっかりごきげんのイズミちゃんはこのツアーで最も派手なキャバレー衣装を選んで出てきた(笑)!男性陣がウヒョー!と色めき立つ(笑)。
この日のイズミちゃんは昨夜のライブを払拭するようなギンギンのステージパフォーマンスだった。セクシーラップをしたり、即興でトーマス家についての歌を歌ったり、外までみんなの大きな笑い声が聞こえてた。
おれはというと、ちょっと家の外に出て空気を吸っていた。トーマス家の大きな猫ちゃんのいる部屋に半日いたために、猫アレルギーが出てきて、胸がひゅーひゅー言いはじめてたのだ。珍しいけどたまになる。もう克服したと思って安心してマスク付け無かったのがまずかったな。
でも、自分のライブ前にはかなり治まったので、ライブは問題なくやれた。とっても楽しくやれた。やっぱり部屋で歌うのが一番いいな。演る側も聴く側もリラックスできる。「うんこ」や「カーニバル」でモリモリ盛り上がっとるけど、もう24時だよ(笑)。
トーマスは「贈る言葉」で最後に胴上げしたかったみたいだけど、たぶんこの部屋でやったら天井か床に穴が開くってば(笑)。
打ち上げももちろんトーマス家。そのままお客さんたちとの宴会がはじまり、ひとりずつ帰ったり、寝つぶれたりしていく。面白かった。
伊勢の小さな小さなシーンの中に、あまりに個性的キャラが集まってた夜。トーマスをはじめ、のび太、伊賀の忍者、長すぎるドレッド男、うんこビーチ、死神みたいな絵描き、モデルみたいなおねーさん、伊勢の重鎮シンガー、などなど。大抵が絵描きかミュージシャンかイベント屋だ。
福岡みたいにバンドもいないし、ライブハウスも無いし、練習スタジオも無い。ツアーで回って来るミュージシャンもあんまりいない。そんな場所だからこそ、みんな“面白いこと”に飢えてるし、人と人の繋がりが温かい気がする。「な〜んもない街だから」っていいつつも、なんだか楽しそうなのだ。
東京や大阪みたいに情報発信の中心地になってる大都市や、福岡や広島みたいにそこそこ何でも揃ってる街には無いものが、ここにはある気がする。
トーマスやそのまわりの仲間たちが作ってるような手作りの小さな小さなシーンみたいなものは全国各地にあるんだろう。本当に面白いものはきっと人知れずこっそりとある。全国に。
おれとイズミちゃんはそんなシーンと出会うために今回のツアーを組んだのかもしれない。きっとそうだ。はっきりとその目的を確信できた気がする。
「地下音楽現場物語」をここで上映できて良かった!
これから伊勢にツアーにいくミュージシャンはトーマス家で決定だね(笑)。
ちなみに、トーマス家のすぐ近くにはかつて「元祖国際秘宝館」があったらしく、伊勢名物と言えば「赤福」か「元祖国際秘宝館」だったらしい。閉館後はそこら中の路肩に蝋人形の首やらが廃棄されてたんだって。おおお....勿体ない。
これは当時テレビで普通に流れていたと言う秘宝館のローカルCM。三重の人ならみんなこのメロディ歌えるらしい(笑)。
「元祖国際秘宝館」テレビCM
そんな面白い話をいろいろしながら面白くて温かい夜は更けていく、おれはいつしか毛布をかけられて眠っていた。