11月2日。
『ハイコレ133〜エンケンvsボギー〜』
ついにこの日が来た。
〜遠藤賢司!デビュー45周年「恋の歌」発売記念ツアー〜 なのである。
今回エンケンさんが生ピアノを弾きたいということで、会場はスペーステラに決めた。
エンケンさんを地方に呼んでイベントを組むと言うことは、甘ったるいことではない。よっぽどの覚悟が必要だ。エンケンさんのローディーにはペペ伊藤、音響には長野一生、運転手に西村明日香、受付にささちと、各部署に信頼できる仲間を配置して万全なる態勢で挑む。
本番とまったく同じくらいの時間と熱量をかけるリハーサルは、入念に入念を重ね納得いくまで音の微調整をする。ペペも長野くんもバリバリに緊張してるのが伝わってくる。
「いまから戦争はじめるから」と言ってエンケンさんはリハーサルをはじめた。
息も出来ないほどの緊張感。
おれも、びびってしまった。
もうすぐギター1本で弾き語り勝負だというのに....
しっかりしろボギー!
楽屋で四股を踏んだ。
開場とともにお客さんがどんどん入ってくる。長年エンケンさんのファンをやっているお客さんも多いが、それ以上に多かったのが、初めてエンケンさん見に来たってお客さんたち。これは嬉しい!しつこいくらい宣伝したおかげで、「ボギーがそこまで言うのなら見に行ってみるか」って来てくれた仲間たちもたくさん。学割で入ってくれた若い子たちも。
あと高校時代のクラスメイトや先生や、照和のころの音楽仲間などなど、ほんとにいろんな顔が並んでた。もうそれだけでおれは感動してたんだけど。
だって今夜は晴れ舞台なのだから。
21年前にエンケンさんの音楽と出会ったおかげで、今の自分はここに立ってる。
そんなエンケンさんと、正々堂々真っ向勝負をする晴れの舞台。
いつもはわいわい呑んで騒ぐお祭りのようなライブ現場が多いけど、今夜は神社で禊ぎを受けるかのような厳粛な空気が流れていた。
そんな締まった空気の中でボギーのライブ開始。
<セットリスト>
1、蚊帳の外
2、プラカラーオーバードーズ
3、星野さん
4、ミュージシャンのうた
5、今年の汚れは今年のうちに
6、BON-ODORI
7、アルコールメモリーズ
今夜は「うんこ」も「ヒマジン」も「カーニバル」も「ERIMO岬」もやらなかった。
その代わり20年くらい前に作った歌、「星野さん」や「今年の汚れは今年のうちに」を歌った。歌もギターもギンギン。アドレナリン大噴火。たぶん今やれる全部を出し切ったと思う。
歌いきったあと大きな大きな拍手をもらった。
楽屋に戻るとエンケンさんがガッシと握手してくれて「すごく届いたよ、がんばったね」って言ってくれた。
次はエンケンさんだ。
スッと登場し、ペペ伊藤がススッとギターを手渡す。
息を呑むごくりという音が聞こえるくらいの緊張感から、1曲目「歓喜の歌」そして「不滅の男」!!!
エンケンさんの長い指がまるで違う生き物みたいに動き、ギターを這うように演奏される「カレーライス」、まるで琵琶のように弾く「猫が眠っている」。濃厚な初期ナンバーの演奏から始まった。
激しい歌と演奏のあと、息を整えるように優しい声でゆっくり静かにしゃべるエンケンさん。静と動の振れ幅がすごくて、まるで小さな船に乗って大海原を航海しているようだ。
生ピアノの長い長い曲「小さな日傘と大きな日傘」は、東日本大震災のときの津波の光景から、復興への力強い一歩一歩をピアノで見事に表現していた。目を閉じて聴けばまるで映画を観ているように映像が鮮明に浮かんでくる。
そんな新曲「小さな日傘と大きな日傘」や、「44年目のカレーライス」「天使の歌」「恋の歌」はどれも言葉が心にストンストンと落ちてくる、素晴らしいメロディと歌詞。
ふとまわりを見渡せば、そこかしこでお客さんが泣いている。
最前列の漢方先生は鼻水垂れ流して号泣していた。
感動的で静かな曲が続いたあと、鬼の形相に変わったエンケンさんは最後の曲「夜汽車のブルース」をはじめた!!!!
コレコレコレコレーーーーーーーーーッ!!!!
おれが最初に出会ってしまって、音楽始めるキッカケになった曲はコレーーーーッ!!
とにかく圧巻の一言。
全身全霊という言葉に嘘偽り一切無し!吹き出す汗!浮かぶ血管!真っ赤に顔を紅潮させてハーモニカ吹くほっぺたは、ディジー・ガレスピーのトランペットみたいにぷっくり膨らんだりヘコんだり!叩き付けるように掻きむしるギターはホールのまわりがえぐれている!
まるで真っ黒な夜汽車が蒸気を吹き上げながらこちらに迫ってくるようなド迫力!!!
これほどまで激しい表情で音楽をやる人、ほかに知らない。
遠藤賢司67歳、不滅の男。純音楽家。史上最長寿のロックンローラー。
リハーサルのとき「いまから戦争はじめるから」と言ったエンケンさんの言葉は決して大袈裟じゃないってこと、このライブを観た人、みんな知っている。
そしてエンケンさんの命懸けのステージは、すべてにおいて真っすぐに真っ当で、どこまでも自分に厳しい。その姿はそのまま「おい!お前はどうなんだ!チャントやっているのか!?」ってこちらに迫ってくる。
すべての表現者はぜったいに一度はエンケンさんと向かい合うべきだ。
巻き起こるアンコール!!!
実は2日前にエンケンさんのマネージャー関端さんからメールで「アンコール、遠藤がハーモニカ吹くのでボギーさんの曲やりましょう」との提案をいただき、腰抜かすほど嬉しかった。
選んだ曲はやっぱり「青い春」。
20年ずっと歌ってきた「青い春」という歌の、ひとつの晴れ舞台だ。
マイクを通さず一緒に生音で演った!!
演りながら目と目で繋がっていた。どんどんどんどんボルテージが上がって、ふたりで宇宙にぽーんと飛び込んだような気持ちだった。
激しい感激と興奮で魂が大爆発!!!!
ずっと歌い続けて良かったな〜....俺。
降り注ぐ大きな拍手がまるで、「おめでとうボギー!」「よかったなボギー!」って祝福してくれてるみたいだった。
そして最後の曲「夢よ叫べ」。
泣いた泣いた。びりびり魂がふるえた。
大魔神のような顔してぬおおおおおっと歌舞伎のように見栄を切り、「エンケンッ!」「エーンケーン!」とかけ声が飛ぶ中をのっしのっしとゴジラのように退場するエンケンさん。ほんともう人間越えてる、怪獣みたいだ(笑)。
終演後は、お客さんたちが大興奮していた。特に初めてエンケンさんを体験した人は感情が溢れ出していた。み〜〜〜〜んな「来て良かった!!!」って言ってくれた。物販に長い長い行列ができ、ひとりひとりと握手をし会話をしサインをしていたエンケンさん。
70歳になったらまた福岡に来ると約束してくれた。
音楽チャント続けて来て良かったな〜。
この日、緊張しながらもバッチリ仕事をしてくれた音響の長野一生くんも、ローディーのペペ伊藤もまた、いっしょに闘った魂の戦士なのです。ワッショイ!!!!
打ち上げは、アトリエてらたのヤッホーカレーを食べに。
「カレーライス」と新曲「44年目のカレーライス」を聴いた夜にヤッホーカレーだ。
「カレーライス」と新曲「44年目のカレーライス」を聴いた夜にヤッホーカレーだ。
すこし空気がひんやりしたけやき通りの夜道をエンケンさんと歩いた。
もうひとり、お客さんの知らないおじさんがついて来た。
誰だろ?って思ったときエンケンさんが「ねえ、南くんさあ」って言って、それで記憶がぶわわっと蘇った!
そうだ!この人、ヒールズの南さんやん!!
おれが19歳のとき、初めてエンケンさんのライブを観たJAJAで、エンケンさんのオープニングアクトをやったニールヤング似のヒールズ南さんやん!!!
うわあ!すごいな。
3人で夜道を歩きながら、この20年間の記憶が一本に繋がったような気がした。
(アトリエてらたにて、エンケンさんと南さんとボギー。)
美味いヤッホーカレーと可愛い黒猫ちゃんにエンケンさんニッコニコ。
ライブの緊張感とは真逆のほんわか穏やかな打ち上げで、幸せな時間がゆったりと流れてた。
翌日、明日香ちゃんとエンケンさんを迎えに行き、「おきよ食堂」でお昼ごはん食べた。
前回も連れて行ったおきよ食堂はエンケンさんもお気に入り。
今ちゃんもエンケンさんに抱っこされてニッコニコ。
「はい、ボギーにプレゼント!」ってエンケンさんがくれたのは、ホテルのトイレットペーパー(笑)。色がキレイだからって。
たとえホテルのトイレットペーパーでもエンケンさんに貰ったものなら宝物だ。
これでケツは拭けないなあ(笑)。
別れ際、いつもエンケンさんは姿が見えなくなるまでずっとずっと大きく手を振ってくれる。
エンケンさんに会うと背筋がピーンとなり、体中から毒素が消えたような気分になるのだ。
だからおれは何年かに一度、エンケンさんを福岡に呼ぶのだと思う。
だからおれは何年かに一度、エンケンさんを福岡に呼ぶのだと思う。
エンケンさんまた会いましょう!
それまでチャントやり続けてますので、また勝負してください!
コメント
コメント一覧 (2)
こないだあってから、はじめて『青い春』Youtubeで聞いたよ。
ずいぶん昔、雁ノ巣レクレーションセンターで野球していたら、
草むらから雲雀がぴぴぴーと飛び去った頃のことを思い出したよ。
冬が厳しい分、奈多の春は、とても穏やかで温かだった。
いや、いまでも温かだ。
ライブ、楽しみにしてるよ。じゃあね!