6月11日。
郡山からいわきへ移動中のバスから見える風景の中に「いわきがんばろう!」「がんばろう福島!」の看板や旗がいくつも見えた。
ボギーいわきに降り立つ。
今夜のイベントは仰々しくも「ボギー、いわきに降り立つ」というタイトルがつけられており、ボギーを迎えてくれるいわきのミュージシャンたちの期待をひしひしと感じるものだった。
ずいぶん早い時間にいわきに着いたので、いわき駅から町をぶらぶらひとり歩き。
町は大きいし道路も広いが、あんまり人がいない印象。
昼メシ食べるとこ探してたら中華屋さんの入り口にボギーのチラシとMOROHAのチラシが並べて貼ってあったので、ここで食べることに決めた。
麻婆豆腐定食、美味かった。ごちそうさま。
リハまでまだ3時間くらいあるので電車乗っていわきの海を見てきた。地図には海水浴場と書いてあったが、進入禁止で長い長い防波堤工事をしていた。
ここ一帯も津波の被害にあった場所。やっぱり人はあまり歩いてない。
駅には「きれいな海、絶好の海水浴場、こどもの村」という看板が淋しく残っていた。
あまりにも人がいないので重たい気持ちになったが、学校帰りの高校生たちがわらわらと駅に集まってきて、駅の待合室がアッという間に賑やかになったので、笑い声を聞いてなんだかホッとした。
ライブ会場のいわきソニックは、思った以上に大きなライブハウス。
中の構造がとても複雑で小部屋や通路やロビーがいっぱいあるんだけど、この建物、元は映画館だったらしい。
今日はこのステージでライブだ!がんばろう。
いや、楽しもう。
リハ終わりに店長三ケ田さんに教えてもらったおすすめの居酒屋「てとらぽっと」にて、ひとり酒。店内ほんとにお客さんは俺ひとり。
至福の一杯!
刺し盛りを注文する。福島で魚、もちろん放射能という言葉は頭をよぎる。しかし、この町で飲食店をやっている人の誇りに敬意を表して刺し盛りを注文するのだ。
(もちろん産地は福島沖ではなく宮城や岩手からのものだとは思うけど)
どれもこれもほんとうに美味い刺身、とろける。
店主ご夫婦と食文化について話し込む。そろそろ始まる時間なのでお勘定しようとすると、店主がサービスでメヒカリのから揚げ出してくれた。いわきの指定魚らしい。柔らかくてめちゃ美味!深海魚なんだってさ。
ほろ酔い気分でソニックに戻るとちょうど一番目のアベマンセイくんのステージ。スクリーンに震災当時の映像から徐々に復興に向かう風景を流しながら、力強く光のあるギターインストというライブが飛び込んできて、思わず胸を鷲掴まれた。
やっぱり今夜はどーしても気持ちがこもる夜になるな。
ライブがんばろう。
いや、楽しもう。
共演したアベマンセイくん、谷井大介くん、daisuke wanna go、the romantickers、みんな良い人、良い音楽。音楽をハートでやっている人が多いなと感じた。
そしてやっと初共演できた島崎智子さんはやっぱり素晴らしかった。
人間がそのまま音楽になっている。
島崎さんに「曲と歌詞はどっちから先に作りますか?」って聞いてみたら「同時に!」って答え、やっぱりな〜と思った(笑)。(ちなみにボギーは歌詞から派)
豊かな音楽に包まれた夜!
とても気分が良いまま、トリでボギーありったけ歌った。
エネルギーをぶわーっと解放してみんなで大笑いするようなライブをやろうと決めてた。「がんばろう!」ではなく「楽しもう!」だけをテーマに。お客さんや共演者さんたちの大笑いする声が益々うれしかった。
でもいちばん歌いたかった「青い春」はいつもと違う感情がぶわっと湧いた。それはやっぱり福島だから。震災後OTOTOYからリリースされた復興支援のコンピにもこの曲を提供したけど、やっと歌えた。
♪ベイビー!青い春はきっとやってくる。
ツアー4日目にしてやっとボギ八先生の「贈る言葉」まで辿り着いた(あれはいつもやる訳ではないのだよw)。初めて行ったのにみんな胴上げありがとう!
みんななんて良い表情なんだ(笑)。
打ち上げも出演者みんな参加で盛り上がった!なぜかいわきは中華料理屋が多い、ここのでっかい餃子サイコーだったなぁ。
めちゃくちゃ緑色のバスクリンみたいな酒を美味そうに呑む谷井くん。
今ちゃんバッジを嬉しそうに購入するダイスケワナゴー。みんな良い顔(笑)。
でもやっぱりいわきで一番良い顔なのはミーワムーラの村重さん(笑)!
二年ぶりの再会に「おぉ!ボギーこのやろテメー会いだかったぞバガヤロ〜!」って言いかたで抱きついてきてくれた(笑)。
とても愉快で笑いに包まれた打ち上げ。
ほんとうはもっと、福島のこと、原発のこと、この町で生きていく現状を聞きたかったんだけど、あまりにも良い夜すぎて、言い出せなかった。
唯一、アベマンセイくんから聞いた震災で亡くなったひとりの女の子の話。デザイナーを目指していた10歳の鈴木姫花さん、彼女の描いた絵がハンカチになって、その売り上げが復興支援に使われているという。とてもすてきなハンカチで、胸がつまった。
『わずか10歳で短い生涯を終えなければならなかった鈴木姫花さんにも、こんなものすごいストーリーがあることに、私はただ畏敬の念を抱くばかりです。震災で亡くなった約2万人も、それぞれの物語を生き、死んでいったのでしょう』(高橋宏一郎)
みんなから「ボギーまたいわき来て!」「岩手も来て!」「茨城にも来て!」「一緒に車で廻ろう!」と歓迎されて嬉しかったし。また必ず来たいなと思った。
ボギーいわきに降り立つ。
今夜は、その最初の一歩を踏み出したにすぎない。
ツアーレポ、最終章へつづく。
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