9月20日。
今年で4年目となる「東京30人弾き語り」。福岡では「40人弾き語り忘年会」というタイトルで年末にかれこれ10年以上ずっとやってる企画なのだが、福岡だとほとんど宴会状態のバカ騒ぎになっちゃうのに対し、東京だとやたら豪華なメンツが集まるので、みんなちゃんと聴く姿勢になる(笑)出るほうも観るほうも緊張感がすごいのだ。
今年もチケットはソールドアウトし、当日券キャンセル待ちのお客さんが並んでくれてた。台風が東京に直撃しようとしており、激しい雨が降っている。早くお客さんを中に入れてあげたいと準備を急ぐ。
ボギーの役目は毎年「30人を選ぶこと」そして「その30人の名前をずらりと書いた垂れ幕を作ること」である。
書いた名前の垂れ幕はステージの中央にドーンと貼られる、これがそのままタイムテーブルであり、書かれてる順番にステージ上がり、30人が1曲ずつ歌い繋いでいく。ボギーのギターを使い回すので、出演者はみんな手ぶらで会場に続々と集まってくる。年齢もキャリアもジャンルもバラバラな音楽家たち30人。それだけですでに会場は異様に面白い雰囲気。
でも、ギター初心者枠の小川美潮さんとアチコは楽屋で必死にギターの練習してたりと、緊張感が伝わってくる。
顔は笑ってても、みんなどこか緊張した表情なのは、まるでここが異種格闘技戦の地下闘技場みたいな空気になってるからだろう。そのムードはお客さんたちにもびんびん伝わる。
やっとお客さんがすべて会場に入りきり、いよいよ開演。
ここからはノンストップで30人30曲の数珠つなぎだ!
1)横沢ローラ
この企画の一番目はとても重要なポジションだ。今年福岡で共演し、呑んで、仲良くなったローラに任せた。彼女のポジティヴに巻き込むキャラと音楽的面白さとクオリティは一番目にピッタリの良い空気を作り出してくれた。たしかアートブレイキーの曲に歌詞を付けたんだっけ?面白かったなあ。
2)工藤祐次郎
彼とは今年の頭にボギーを阿佐ヶ谷に呼んでイベントを組んでくれたことで知り合った。味わいある視点からくる歌詞を、ちゃんとしたフィンガー奏法で聴かせる正統派のフォークシンガー。
3)犬風
ずいぶん前にGEZAN(下山)と一緒にきた福岡ツアーで知り合った。出会った頃は灰野敬二を彷彿とさせる黒尽くめの服と長い髪だったが、いつの間にか派手な服と金髪になっており、客席から「ヤンキーだ...」と声が漏れ聞こえ笑ってしまったが、ひとたび歌えば犬風さんの声の破壊力やっぱすごい!
4)中川理沙(ザ・なつやすみバンド)
ただでさえ元気じゃなさそうな理沙ちゃんだが、この日は緊張のあまりかさらに青白く華奢に見えた(笑)。タイトル覚えてないけど、俺がなつやすみバンドの中ですごい好きな曲を歌ってくれて嬉しかったなあ。
5)笹口騒音ハーモニカ
2年前に女装したキャラで出演してクソすべってた笹口くんがリベンジ。相変わらずMCでめちゃくちゃなことばかり言ってんだけど、今年は最高に面白かった!
6)ユカリロハ
女性の弾き語りには珍しくフィンガーピッキングでラテンのグルーヴを出すロハ、いつもライブで盛り上がる曲を選んで会場をコール&レスポンスで盛り上げようと果敢に責めてくれたけど、まだ会場の温まり方が足りてなかったかもなー。
7)原田茶飯事
茶飯事もやはりフィンガーピッキングでボッサのグルーヴを出す手練。そしてこの企画には4年連続で出てもらっているほど信頼している。「おばかさん」のエアトロンボーンで湧かす。打ち上げで知久さんから「きみがいちばんよかったよ〜」と褒められててすごい喜んでた。
8)土岐佳裕(HAPPLE)
バンドの時のかなりハッチャけたイメージを想像してたら緊張でガッチガチ!顔色もヤバかった。なんだかそれが面白すぎて曲の記憶が無い...すまん(笑)!
9)アチコ(Ropes)
ギター弾いたことないのに強引に誘って出てもらった。一生懸命練習したたどたどしいギターの一音一音がグッとくる。この企画でギター練習したのがきっかけで次はザゼンボーイズ向井さんとLOSTAGE五味さんのツーマンのオープニングが決まったらしい。わはは、サイコー。
10)柴田聡子
出てきただけで雰囲気が変わる存在感、歌いだすと、その世界に吸い込まれる。同じフレーズをくり返しくり返す。くり返しの中に新しい意味を発見するようなそんな不思議な歌。いいなあ。
11)ジョニー大蔵大臣(水中、それは苦しい)
タイムリーな「おっとオトタケ」で会場めちゃ笑いの渦に!あれだけの言葉数をよく覚えて連射できるなあと感心する。感心するんだけど、個人的にこの曲はツボではないのをジョニーさんには見抜かれた。「だってボギーさんぜんぜん笑ってないんだも〜ん!ステージから見えてて怖かった〜!」とジョニーさん(笑)。
12)松本敏将(tobaccojuice)
出てきた瞬間、魂どっかに置き忘れてきたような可笑しな声でしゃべりだしたのがほんと面白すぎた。森のことについてしゃべって歌ってたけど、松本くんが森の妖精みたいだなと思った。
13)白石ひかり
去年は福島から歌いにきてくれたけど、今年は神奈川在住。ひかりちゃんの目付き、表情、指先、脚、ウィスパーボイス、ぜんぶエロくて素敵だ。俺がゲンズブールだったらぜったいプロデュースしたい(笑)。でも実際のひかりちゃんは、人見知りでおとなしい子。
14)双葉双一
もう単純におれはこの人のファン。ほとんどしゃべったことないけど、去年に引き続き今年も喜んで出てくれた。うれしいなあ。「レベル5」って曲を歌ってた。天才やな。
15)杉林恭雄(くじら)
今年はなんの歌が聴けるのかなーと思ったらまさかのカバー。北原ミレイ「懺悔の値打ちもない」。あらためて、昔の歌謡曲の歌詞のすごさを感じた。
16)前田由紀(ホワイトベリー)
2年連続でヒット曲の「夏祭り」を歌って会場を盛り上げてくれたけど、今年はオリジナル曲の弾き語り。由紀ちゃんのオリジナル、とても良い。結婚について歌ってた。「28歳になりました」ってMCで会場どよめく。デビューしたの小学生の頃だもんなあ。
ここで、飛び入り枠。「誰か歌いたい人!」って言ってまっ先に手を挙げたのは島崎大。長渕剛のガチなTシャツを着ていた。熱い熱唱でちゃんと盛り上げてくれてありがとう。
17)西尾大介(ALOHA)
ここからしばらく福岡出身枠が続く。福岡時代からよく歌ってた「サウンドパーク」、久しぶりに聴けたの嬉しかったなあ。あと西尾いじりも久々にやれて楽しかった。
18)見汐麻衣(埋火)
NOKKOの「人魚」を大人っぽく歌いきった見汐さん。歌ってる最中に百々さんの「そんなに抱いて抱いていうなら抱いてやってもいいけど」って声が舞台袖から聞こえてきて爆笑。
19)氏原ワタル(DOES)
二日前のワンマンで活動を休止したDOES、背負っていた大きなものを一旦下ろして自由になったような弾き語り。ここからまた新しい一歩という感じのステージだった。ワタルくんもこの企画には毎年欠かさず出てくれてる。
20)有馬和樹(おとぎ話)
「なんで福岡くくりの中に俺いんの?俺福岡じゃないけど〜」って期待した通りのMCで始めてくれた有馬(笑)さすが常連組。「COSMOS」をしっとり大事に歌ってくれた。
21)百々和宏(MO'SOME TONEBENDER)
この企画に一度出て欲しくて毎年誘ってたんだけど、スケジュールが合ってやっと出てもらえた百々さん。福岡時代は何度か対バンしたこともあるけど、話したことはなかった、何年も経って東京でこーやって繋がってる、ロックンロールハート。
22)知久寿焼(パスカルズ,ex.たま)
去年に続いて出てくれた知久さん、今年は「きみしかいない」。歌いだした瞬間に空気が丸くなる、色が暖色系に変わる。そんな声の魔法。中学時代からずっと憧れていたミュージシャンがボギーの遊びに付き合ってくれてる、なんて幸せなことだろう。
23)石川浩司(パスカルズ,ex.たま)
知久さんから石川さんの流れで、たまを半分みれて幸せ。来年、もう半分も見てみたいな~(笑)。「マトリョーシカ」という新曲、すごく面白かった。途中の語りで「ボギーの中から小さなボギーが出てきて...」とアドリブで湧かせる達人芸!
24)小川美潮
小川美潮さんは去年よりすこしだけ上達したギター(笑)で「はじめて」を歌ってくれた!美潮さんにいちばん弾き語りして欲しかった曲だったからうれしすぎ。泣きそう。終わって美潮さんが指先を触らせてくれた。ギタリスト特有の固い指先になっており、本当にがんばってくれたんだと感激した。
25)戸渡陽太
2年前にボギーが小川美潮さんを福岡に呼んだとき、会場に見に来てくれた戸渡くん。そのとき衝撃を受けたという「窓」をカバー。とても難しい曲、戸渡くんなりにすごいがんばって歌ってたけど、終わって美潮さん本人から「もっと勉強しな」ってダメ出し喰らってて笑えた(笑)。
26)pocopen(sakana)
後半の流れは完全に自分がお酒を美味しく飲むために考えた最高に幸せな流れ(笑)。芋のお湯割りにふわっと気持ち良くなってきたとき、ポコペンさんが「♪ボギーに逢えて良かったんだ~ありがと~」って歌ってくれて涙目になった。天使の声だ。
27)大槻ヒロノリ(真黒毛ぼっくす)
相変わらず酔いどれてて最高の大槻さん。自分の出番が近付いてきたので楽屋に一瞬だけハーモニカを取りに行って戻ってくると、大槻さんが俺のギターを床にバーーーンって派手に落としてた...。まあ、このギターも酔っぱらったフジモトジンから6,000円で買ったギターだけど(笑)。
28)曽我部恵一(サニーデイサービス)
出てくれるだろうかとダメモトでお誘いした曽我部恵一さんがステージ上で「実はずっと東京30人弾き語り出たかったんです、誘ってくれて嬉しかった」って言ってくれたのめちゃくちゃ感激した。最近作った出来たての「五厘の恋」って曲、オリンピックのことを歌っていた。やっぱすごい。
29)FUCKER
29番目の枠はいつもボギーが舞台袖から歌ってる背中を見たいなって人を指名している。今年は4年連続でド緊張しながらも最高のパンクをいつも見せてくれるFUCKERさんの背中が見たかった。大きな背中を見つめながら、気合いを入れさせてもらった。

30)ボギー(nontroppo / 東京ノントロッポ)
30番目、最後に歌う曲は決めている。毎年「青い春」を歌っている。しかし同じ「青い春」でも、その年その年の出来事や感じていることが歌にでる。今年は渾身の歌が歌えた気がする。
「青い春」からの流れで最後はやっぱり「贈る言葉」(笑)。
そして胴上げ〜!
ステージに今夜の30人が上がって記念撮影。
有名も無名も新人もベテランも区別なく、正々堂々と同じステージに立ち、同じ一本のギターを回し弾きした仲間たち。あぁ、なんて清々しいんだろう。音楽は素晴らしい!
夢のような夜だった、東京30人弾き語りはボギーの贅沢な"遊び"である。音楽で旅をしながらひとりひとりと繋がっていって"遊び"を分かってくれる仲間がいつの間にかこんなにたくさん増えたんだ。
歌で繋いだ人生ドラマ。30人に盛大な拍手を!!!!!
東京30人弾き語り、2017年にまた会いましょう〜!
と、東京のイベントだったらここで解散〜ってなるのが多いけど、ここからは福岡スタイル打ち上げに突入!まずは月見ルで乾杯!
楽しい〜!
幸せ〜!

めちゃくちゃ楽しい!!!

酔いつぶれる西尾。

二次会はどっかの居酒屋に移動してさらに朝まで飲み続ける。

もはやべろんべろん。

戸渡りはおれにキスしすぎや(笑)!

で、もうすっかり朝。「シメにソバ食いに行こう!」って言ったら、ついてきてくれたの戸渡だけだった....わはははは、さすがにね。戸渡ありがと(笑)!

だって楽しい夜は終わらすのが勿体ないんだもん〜。
また来年の30人を考えるのが楽しみだなあ。
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