18歳の頃、テレビで聴いた遠藤賢司「夜汽車のブルース」が自分の人生を変えた。「♪なんかいいことないか、なんか面白いことないかと、夜汽車は、夜汽車は走るのです」この曲に電流が身体を駆け抜けるような刺激を受けて、音楽を始めた。



それから少し経ってエンケンさんのライブを初めて生で見たとき、凄すぎて泣いた。ライブ後、楽屋のエンケンさんに握手を求めるとぎゅうっと握って「お互いミュージシャンとしてがんばろう!」って言ってくれた。まだ十代の、ギター始めたばかりの若造を、エンケンさんは子供扱いしなかった。

エンケンさんとボギー


エンケンさんはずっとボギーの目標だ。エンケンさんみたいな歌が歌いたいとか、エンケンさんみたいになりたいとか、そーいうことではなく。いつだってエンケンさんがエンケンさんでしか無いように、ボギーはボギーで在ろうと。正直にちゃんと生きようと、そういう目標なのだ。

2009年、ボギーのイベント「ハイコレ」が100回を迎えた記念に、憧れのエンケンさんを福岡に呼んでノントロッポとツーマン勝負を遂に企画した。

ハイコレ100

さらには2012年にも!
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そして2014年には遂に弾き語りのツーマン勝負までやらせてもらった。
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エンケンさんを福岡に呼ぶたび、そしてエンケンさんと共演を重ねるたび、エンケンさんの大きさに圧倒される。どんなに共演を重ねたって気さくになんて話せない、やっぱり、エンケンさんはとてつもなく大きな憧れなのだ。


だからエンケンさんが今年癌であることを公表したとき、目の前が真っ暗になるほどショックを受けた。あの不滅の男エンケンさんが、まさか...。決まっていたライブも数本キャンセルになっているという、よほど悪いのだろうか。

そんな不安な状況の中、エンケンさんが渋谷クアトロでアルバム「満足できるかな」の再現ライブをサニーデイサービスとやるという!うおおお!これは行かねば!!と日程を確認すると、ちょうど「東京30人弾き語り」の翌日ではないか!なんというタイミング。さっそくチケットを予約し、この日を待っていた。


9月21日。


超満員の渋谷クアトロで、エンケンさんの命懸けのライブをみた!上下ともに真っ白な衣装、髪まで白く、天に向かってツンツンに立てている。エンケンさんは痩せていたが、全身からオーラのようなものが立ち上がっており、鬼気迫るとはまさにこういうことだと思った。

1曲目から全力で「猫が眠っている」そして「夜汽車のブルース」!!ぬおおお!さらに「満足できるかな」完全再現ライブへと流れていく、バッキングを務めるサニーデイサービスの表情もやはり鬼気迫っていた。昨夜「東京30人弾き語り」でおだやかに歌ってた曽我部さんと別人のようだ。


アンコールでエンケンさんは自身の病気について語った。「音楽だけは、病いに甘えたくないんだよね。ちゃんとやりたいんだ」と全身全霊振り絞って歌った「不滅の男」と「夢よ叫べ」で魂が震えすぎて大号泣してしまった。
 

大満員のクアトロ、両手を挙げてフロアに降りてきたエンケンさんに、お客さんたちが一斉に「頑張れエンケン!」と叫び続けた。これほど魂が震えるライブは、みたことない。


ライブは演奏時間を予定より大幅にオーバーして終了した、エンケンさんは不滅だ!



終演後もしばらく放心状態でフロアの隅っこに立っていた。涙がなかなか乾かない。物販でCDとTシャツを買ったのでサイン会に並んだ。エンケンさんはあの激しいライブをやり終えすぐにサイン会まで!本当に病気なのだろうか?と思うほどパワフルだ。限定100名のサイン会の100人目に並んでたら、エンケンさんから「おぉボギー!ステージからよく見えてたよ。打ち上げおいでよ」と誘っていただき、ありがたく参加させていただくことに。

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誘われるがまま打ち上げ会場にひとりでふらふら行くと、そこには鈴木慶一さん、パンタさん、遠藤ミチロウさん、水道橋博士さん、湯川トーベンさん、園子温監督、神楽坂恵さん、フラカンの前川さん、原マスミさん。あまりの錚々たる顔ぶれに立ち尽くす。
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立ち尽くしていたら「こちらにどうぞ」と座らされたのが、頭脳警察パンタさんとムーンライダース鈴木慶一さんとスターリン遠藤ミチロウさんと園子温監督のいるテーブル。ここになぜ俺がまざっているのか、これは夢なのか?夢にちがいない。この写真もきっと気のせいにちがいない。
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エンケンさんの周りはたくさんの人に囲まれていたけど、打ち上げの最後の最後でやっと話しができた。エンケンさんは俺の肩をガシッと掴んで「こいつすごくいい歌を歌うんだよ」って周りに紹介してくれた。嬉しくてまた泣きそう。エンケンさん!病いなんかに負けず長生きしてくださいね!

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夢のような夜から一夜明けてもまだエンケンさんとサニーデイサービスのバトルのようなアンコールでの凄まじいフィードバックが延々と頭に鳴り響いていた。本当に興奮が冷めやらない。

エンケンさんは来年の1月で70歳になる、そしてこれからピアノだけのアルバム制作に入るという、「70歳になった頃、また福岡くるから、ボギー宜しくね」って2年前に交わした約束をエンケンさんは覚えているだろうか?もし覚えていなくても、俺はしっかりと覚えていますからね。

エンケンさん、待ってますよ!