8月13日。
ボギー家族ツアー全15公演を終え、すっかり絞りカスみたいな5人であった。
しかし、真夏にエアコンの壊れた車で福岡に帰るという最後のミッションが残っている。
無事に帰宅するにはいくつかの条件をクリアしなきゃならない。まずお盆シーズンの渋滞回避!炎天下での長時間渋滞は釜茹で地獄だ。もちろん雨が降ると窓を閉めなきゃいけないので、天気も心配である。さらに運悪いことに台風も接近していた、天気が荒れる前に福岡に着かねばだ。子供たちの熱中症も心配だし、そもそもこの車で福岡まで安全に走れるという保証もない。
あらゆる悪条件を考慮して下した結論は、運転手のベイビーがたっぷり睡眠を取り、日が暮れてから高速をいっきに走り抜け、夜のうちにできるかぎり福岡に近づいておくという強行作戦しかなかった。
疲れた身体を癒す場所は、厚木の健康センター。
とにかく眠かった。阿佐ヶ谷ライブを終えたその足で、どろどろに疲れて健康センターにたどり着いた俺たちは風呂も入らずそのまま仮眠室で気絶…。
翌朝は宴会場でおじいさん達のゆるいカラオケを聴きながら昼ごはん食べた(リクエストすれば誰でも100円で宴会場のステージに立てるシステム)。
じいさんばあさんガンガン歌う!リアルのど自慢!特に一番ヘタクソなじいさんが最強で、リズム感が脱臼した「きよしのズンドコ節」には腹筋が引きつりそうなほど笑い堪えなきゃいけない地獄だった。
そのカラオケじいさん怒涛の3曲連投で「水戸黄門」を歌い出したあたりはなんだか感動すらしていた。あぁ、音楽はこれでいいのだと。
♪人生楽ありゃ苦もあるさ 涙のあとには虹も出る
本当に今年の家族ツアーはそんな旅だったなぁ。なんてしみじみ。
カラオケ大会の後はビンゴ大会が始まった。司会のおじさんの進行ぶりも最高!なんだここ、めちゃくちゃ楽しいな。
餅が当たったし!縁起がいい!!
ここは最高だ。湯治のためのあらゆるお風呂があり、仮眠室もたくさんあり、24時間滞在でき、食事もけっこう美味い。
このままあと2〜3日泊まっていたいくらい居心地いい健康センターを後にし、夕方に出発。
いよいよ福岡へ帰るのだ。
窓を開けて走る、夜風が涼しい。
真正面に丸い月。
明るい夜だった。
心配してた渋滞もないし、雨もまだ降ってない。エアコン壊れてても大丈夫だ。あっという間に京都あたりまで快調に走らせる。
眠気覚ましにカーステで岡村ちゃんガンガン流しながら神戸まで爆走!子供たちは爆睡!
岡山に入り、太陽が昇りはじめたころ、ベイビーの目が半開きになっていた。ヤバイ!!!
こんなとき眠気が覚めるような面白い話をするべきなのだが、付き合って25年を越える2人だ、なにもかも語り尽くしている。
ツアー中どこで食べたアレがうまかったとか、もし移住するならどこがいい?とか、他愛のない話が途切れると、あとはウィーアーリトルゾンビーズのサントラをガンガン流しながら大声で歌って眠気を飛ばすのだった。
夜中のうちに10時間運転し、早朝なんとか広島あたりまで来れた。ここらでちょっと休もーぜ。
しかし、ベイビーはほんの少しだけ仮眠を取ったあと「暑い!」と叫んで再び車を走らせた。
空が明るくなり、太陽が昇りはじめると車内の温度は瞬く間に上昇した。
暑くて爆睡していた子供たちもさすがに起きたので朝食。サービスエリアのメシ、もう飽きたわ〜。
福岡に向け走り出すと再び車中は大騒ぎ状態に。
うるせー
車の中がずっとうるせー
でも、たのしー
このたのしすぎる旅もあと少しでおわるー
さみしー
そんなこんなで関門海峡!
遂に九州に帰ってきたぞー!!!!!
家まであと少しがんばれベイビー!がんばれベイビー!なんだかサライが流れてきそう…いよいよ感動のフィナーレ!
と、いうわけで旅の出発から26日目、無事わが家へたどり着けた…。
大きな安堵感とちょっぴりの寂しさ、そして、各地でお世話になったみなさん、応援してくれたみなさんへの感謝の気持ちでいっぱいだ。心からありがとう!!!
特に今年はトラブルもあり、たくさんの助けもありで余計に忘れられない思い出が山盛りの旅になった。
このツアーをはじめた5年前からずっと言ってることだけど、ボギー家族ツアーとは最高の「思い出づくり」なのだ。
人生は「思い出づくり」とさえ思ってる。
しかし、その「思い出づくり」にはたくさんの人の手助けの上に成り立っていることを忘れてはいけない。
この世界にはいろんな面白い場所があって、いろんな面白い人がいて、いろんな面白い生きかた暮らしかたがある。
人生は面白い!
それを実体験として知ることは子供たちの生きる大きな力となるだろう。
また来年も家族ツアーができるかどうかは分からないけど、5年間もこんな旅を続けてこれただけでもう充分に奇跡だし、子供たちがいつか自分の家族を持ったときにこの旅を振り返り、わが子に語るような日がきたら、それって最高だなと、ひとりの父親として思っている。
コメント